物差し、眼差し
私たちは、経験や知識、文化や記憶によって形づくられた、固有の偏りをもつ「物差し」を通して世界を見ています。何を真実とし、何を善いと考え、何に美を感じるのか。本連載は、まず、その物差しの由来をたどり、それによって形づくられた自らの認識を、批判的に問い直すことから始まります。あらゆる存在は、空間や時間、人、社会、文化、自然や宇宙、意味や可能性が織りなす、多次元的な総体のなかにあります。私たちは、その全体を一つの視点から捉え尽くすことはできません。だからこそ、真によって全体を認識しようとし、善によってそこへの関わりを意志し、美によって、いまだ言葉にも形にもなっていない可能性を感受する。真・善・美とは、まだ見えていない全体へ近づくための眼差しなのです。世界に何かを現すということは、外側から対象に形を与えることではなく、自らもその一部として、関係の総体に参与することではないでしょうか。そこから一つひとつの存在にふさわしい形を導き、部分の総和を超えて互いの価値が響き合う、心躍る、軽やかで、美しく、自由な物語を描いていく。本書では、その終わりのない探究と実践をGestalting™(ゲシュタルティング)と名づけ、その可能性をひらいていきます。